奈央と出会えたから。<42>

麻呂  2008-01-13投稿
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* * * * * *

『木下 奈央の母でございます。娘がいつもお世話になっております。』


母は30分もしない内に、あたし達が待つ職員室へ現れたー。


母は車の免許を持っていないー。


自転車にも乗れない‥

って言うか、


小樽は坂の街と呼ばれる程に坂の多い街だからー。


自転車に乗ってる人ってあまり見かけないんだー。


母は多分、勤務先の弁当屋からタクシーでここまで来たのだろうー。


『えー‥。実はお母様に来て頂いたのはですねー。』


待ってましたと言わんばかりに渋川は早速、事の経緯を母に話し始めたー。


『人間誰にでも間違いはあります。
ちょっとした心の闇の隙間に忍び込んだ悪の心。
それは誰でも持っています。
やってしまった事実は仕方ありません。ふと、魔がさすと言うのは、どんな人間にも有り得る事ですから。
先程、娘さんにこの事をお話させて頂いたのですが、なかなか納得してくれないものですからー。
お母様の御勤務先へ電話をさせて頂いたのです。』


母は、渋川の顔から一瞬とも目を逸らす事も無く、話の最初から最後までを真剣に聞いていたー。


『‥ですから、お母様の方からも娘さんを説得して頂きたいのです。』


渋川はそう言って、あたしの肩をポンと叩いたー。


ユカがニヤニヤしながらあたしを見ていたー。


悔しい‥。


結局、担任の渋川もあたしをハナっから疑ってんじゃん‥。

あたしを犯人だと決めつけてんじゃん‥。


犯人だと決めつけた上で、強制的に認めさせようとしてんじゃん‥。


なんだよ‥それ‥。

あたしがやってないって言ったって、
誰も信じてくれないなんてー。


おまけに母まで呼び出されちゃって‥。

もうやってらんないよ!!



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