15才。春。
義務教育を光のスピードで駆け抜けた僕がそこにいた。
義務教育の9年間を振り返って得たモノといえば、友達とサッカーの楽しさと自分の馬鹿さ加減を知ったことぐらいだろうか?
幼稚園時代からサッカーをしていた僕はいろいろな人達と出会ってきた。いろいろなことを学んだ。そして、いろいろな馬鹿をした。
まぁ、簡単に言えばこんな感じの義務教育時代を過ごしたわけだ。
そして、この春。僕は高校という一見、自由の国のように思える場所に身をおくことになる。
期待とか不安とかいろんな荷物を持って入学式に向かい、クラスの初顔合わせ。
可愛い女の子と付き合いたい。僕はそれしか考えてなかった。
しかし、しかしだ。クラスには可愛い子なんて呼べた女の子はとても少なかった。ほとんどの女の子の髪の毛が僕より短かった。なんでかって?
それは僕が入学した高校は体育科で「スポーツ一筋っす!!」みたいなことを平気言えてしまうような女の子ばかりが集まっていたからだ。
僕は「来るとミスったなぁ〜。あぁもぉやめた…。」と心の中で何百回も呪文のようにグルグルと唱えたのだった。
そして、ホームルームで担任の先生がオリエンテーションを兼ねた『キャンプ実習』というモノについて話し始めた。
これは、高校の新3年生が僕ら新1年生にキャンプを通じて教育するというようないかにも体育科らしい行事の一つらしい。
いろいろな説明を受け、3日後に実施されるキャンプ実習まで学校は休みだと聞かされ、とりあえずこの日は入学式とホームルームで一日を終えた。
キャンプ実習前夜…。
眠れない。全然。
初顔合わせで落胆した僕の心は落ちきったままだ。
しかし、微かな希望は捨てないでいた。「まだクラスも決まったばっかで、ちゃんとみんなの顔も見てないしもしかしたら…。」
そんなことを考えてる間に朝になり、僕は朝ご飯を食べて、緑色の体操着に(ダセぇと思いつつ嫌々)着替えて、自転車に乗って高校へ向かった。
高校にはまだ友達なんて呼べたもんじゃないクラスメイトが集まっていて、なにやらうわべだけの会話に花を咲かせていた。
俺はそぉいう、初対面でなんか興味もないようなことを平気で質問したり平気で盛り上がったりしてる奴が大嫌いだ。
「FUCK OFF!!」
つづく…