席まで案内され、2人は席へ着いた。
「ここ隠れた名店なんだ。味は間違いないから。」
「そうなんだ。楽しみ!」
俺はタバコに火をつけた。
「それにしても亜妃、見ず知らずの奴によく自分から助けを求めたな。」
「見ず知らずじゃないよ、知ってたもん。」
「知ってた!?」
「オレ…、私が一人で歩いてるところに、バイクを降りたさとるがたまたまいたの。」
「その時は俺に声かけようと思わなかったんかい?」
「だって、一人になりたい時にわざわざ人に会おうとしないでしょ。」
「そりゃそうだ。」
「それに声かけたところで、私だって分からないじゃん。」
「確かにな。言われるまで『亜妃』だって分からなかった。」
「その後、私が男どもに絡まれてるとこで偶然、さとるが信号待ちしてたの。」
「だから迷わずこっちへ来たのか。」
「そういうこと!」
(偶然が重なるとは…。起こるんだなこういうことも。)
「大変お待たせしました!本日のスペシャルコースです。どうぞ、ご賞味ください!」
「ありがとう!美味しそうだね!」
彼女は満面の笑みを見せた。
「さぁ料理が冷めないうちにいただきますか。」
「うん!」
「まだまだご用意してますので、お楽しみに!」
そして、一時の安堵な食事の時間を楽しんだ。