「神様、僕の声が聞こえますか？」
海斗は星が瞬く夜空を見上げた。「聞こえているなら、どうか僕の願いを叶えて下さい。」
海斗は小さな手の平を胸に当てながら目をつぶり、つぶやくように言った。
胸の中で強く願いながら…。
「友達を下さい、本当の友達が欲しいんです。お願い。」
海斗が呟き終えると、家の中から洋子が出てきた。
洋子は海斗の母親だ。
エプロンをして、長い髪を後ろに１つに束ねている。
「海斗、降りてらっしゃい！またそんな所に登って！危ないわよ！ご飯出来たから、早く来るのよ。」
洋子は屋根の上に向かって、叫びながら海斗に向かって手を振り、また家の中に戻って行った。
海斗は星が綺麗な夜に屋根に登るのが好きだった。
今日も星がキラキラと瞬いている。
７月の風が海斗のサラサラの髪の毛を揺らしていく。
「よしっ！そろそろ降りるかな。」
海斗がスッと立ち上がると、遠くの山の方から光が異様な動きをしながらこっちに向かって飛んでくるのが見える。
「なんだあれ？」
どうみても星ではない。
飛行機はあんな飛び方はしないだろう。
ゆっくり右に動いたと思えば、今度は左に。
下に下がったと思えば急に上に。
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