「ごめんね……」
「いいんだ。……いいんだ…」
俺は、璃由の頭をなで、頷きながら涙した。
「紘…」
「璃由……」
チュッ………
ロボット…機械…人工…恋…病室…
…もう、どうだっていい…
「ごめんね…紘」
「なんで謝って…」
「ごめんね」
璃由の元を見てみると、信じがたい言葉が待っていた。
「ダメなの…潮風…」
「あっ………」
「錆びちゃうから」
一気に現実のすべてを叩きつけられた気がした。
錆び………
機械だったら、当たり前なことだよな…
ごめんな……………
「帰ろっか」
「うん…」
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電車の中では、お互いに無言だった。
俺も璃由も、どんな言葉から切り出せばいいかわからなかった。
「ごめんね」
この言葉がこんなに痛く響くとは思わなかった。
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「送るよ」
「アリガト」
「暗いからな…」
「うん…」
ずっとこのまま二人で歩いていたかった。宛てなく、二人きりで。そうすれば、この心も満たされるんだろ?
[三条]
現実は無惨にも、俺たちを三条の標札のかかる家へと連れて行った。