{璃由…!!}
家の中から、あわてたような男性の声がした。
「お兄ちゃん…」
声の主であった怜治さんが、璃由に駆け寄った。
{どこ行ってたんだ……!?}
「ごめんなさい」
{…君は確か…?}
「御柳 紘です。すぐ近くの中央病院の中庭で会った…」
{あぁ…しかし、なぜ君がここにいるんだい?}
「いいの、お兄ちゃん。私が…無理言ったんだから…」
「璃由……」
{璃由…もしかして、塩か何か触らなかったか…?}
「あっ…ぅん……潮風に…ちょっと…」
{…!ばか!早く洗い流さないと!}
バタバタ……
怜治さんは、璃由を連れて行った。俺も、気になって仕方なくなり、勝手ながらついていった。
「ここは……」
怜治さんは慌てていたため、俺の存在に気づいていなかったみたいだ。
ふつうのオシャレな家の内側はリビング以外は研究室であった。
「お兄ちゃん…!なにするの?!」
{お前の電源をいったん消して、洗い流すんだ}
「やめて!今日の記憶、まだメモリーしてない!」
{うるさい!早くするんだ!}
「いやぁぁ!!」
「璃由ーっ!」
「紘っ!」