時‐7 優しさ
そして季節も夏から秋に変わる頃俺は、授業の前に希菜に呼ばれて最初に行った公園に来ていた。
希菜が切り出す
『やっぱ私あなたの事が好き…
私と付き合ってほしい…』
…“はい”と答えよう、迷うな
希菜と付き合えばあの人の事も忘れられる。
なのに俺の口からでたのは
『ごめん…』
『なんで…?』
希菜に聞かれて言葉に詰まる…
けど理由を話さなければ希菜は納得しないだろう。
俺は希菜に全てを話した…
少し黙っていた希菜が口を開く
『皮肉だね…』
希菜の言葉が俺の中で響いた
希菜は続ける
『私はあなたの事が好きなのに
あなたは私を好きじゃない…
…じゃあ私があなたの彼女に対する境界線を無くしてあげる』
俺は希菜を見る、
彼女は優しく微笑んでいた。
『あなたの彼女に対する境界線を私が取ってあげれた時、あなたが彼女の事をまだ好きなら…彼女のとこに行けば良い』
『えっ…?』
『私は彼女に対するあなたの境界線が無くなる時までにあなたの想いが私だけに向くようにするから』
『分かった、ありがとう。』
俺の迷いは消えた
俺は希菜を抱きしめた。
彼女は泣いていた…
俺も…