CHANEL No19

もね  2008-01-15投稿
閲覧数[309] 良い投票[0] 悪い投票[0]


昔私が
とても幼く
おもちゃを大事に
持ってる頃に
とても小さな
香水瓶の
一つ一つを
机に並べ
香りの世界に
迷い込んでた
そこに特別
大好きだった
不思議な香りの
小瓶があった
ただの四角い
小瓶だけれど
そこに入った
琥珀の世界は
蓋を開ければ
前に広がる
それは緑の
草原のかぜ
少し湿った
高原のもや
鮮やかな色
木の葉が今に
私に向かい
降り注ぎそう
ふんわり香る
残り香からは
私の知らない
大人のひとが
振り向く時の
儚い襟の
淡く漂う
化粧の香り
私にその瓶
くれた女性は
私を小さな
部屋に招いて
優しいその手で
私にくれた
早くに夫
無くしたそのひと
たくさん泣いた
その手でくれた
私は幼く
分からなかった
何とはなしに
両手で包んだ
今も四角い
小瓶の中の
琥珀色した
世界を着けると
草原の風
私を包む
私に小さな
小瓶をくれた
あのひとの事
心に浮かぶ




投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 もね 」さんの小説

もっと見る

詩・短歌・俳句の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ