傷痕

 2008-01-16投稿
閲覧数[184] 良い投票[0] 悪い投票[0]

オレは今、幸せなんだろうか。
あのときの選択は正しかったんだろうか。
ただ、ひとつ言えるのはオレは弱虫で卑怯でどうしようもない奴だった…

高校のとき、サキとゆう子と付き合い始めた。
サキとオレは毎日のように愛し合っていた。
受験も2人で乗りきって、お互いの志望大学に通うことになった。
オレ達はサークルにも入らずに、時間さえあれば2人で過ごした。周りからはバカップルだと言われたけど気にならなかった。サキはオレのすべてだった。

だけどオレには秘密があった。大学に入ってやたらとモテたオレは調子に乗って浮気を繰り返していた。
サキの家は母子家庭で、父親の浮気が原因で両親は離婚していた。だからサキは浮気をとても憎んでいた。
それを知っていたので、サキには絶対に浮気がばれないようにしていた。

しかし、付き合って3回目のクリスマス、最悪の事態は起きた。
あの日、オレの家で2人でくつろいでいた。
だけどオレがコンビニでタバコを買って戻ってくると、サキはいなかった。

ケータイにはサキからメールが。
『私は最低の女です。あなたのこと信じたかったけど信じられなかったからケータイ勝手に見ました。でも、あなたは私以上に最低だね。私が浮気嫌いなの知ってて…ひどいよ。今までありがとう。』

頭の中が真っ白になった。サキにいくら連絡しても返事はなかった。
サキの最寄り駅で真冬の寒さの中毎日待ち続けた。3日目の夜、ようやくサキに会えた。ひたすら謝ると、サキは悩んだ末に許してくれた。
オレ達の愛は浮気くらいじゃ壊れないんだ、って感じた。だが、それはオレの勘違いだったんだ。


それからとゆうもの、オレとサキは毎日会った。
しかし日に日にサキは痩せこけてゆき、最後には髪の毛もたくさん抜け出した。

オレは気付いてなかったんだ…一度の浮気がサキの心に刻み込んだ傷に。

オレはサキに別れを告げた。オレといてもお前は幸せになれない、と言った。

サキは『あなたは私の心を奪うだけ奪って、傷つけるだけ傷つけて去っていくの?無責任ね』と言った。

何も言い返せなかった。
サキの傷を癒すべきだというのはわかっていたが、癒せる自信がなかった。

それからサキには会っていない。
痩せこけて、髪の毛も抜けていたサキは今はどうなっているのだろう。
オレの胸にいつまでも残るこの痛みはオレの罪への報いなのだろう。



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 歩 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ