宝物9

ラク  2008-01-16投稿
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呆然とした俺を乗せながら電車は走り続け、冷静になったときには電車は降りる駅のすぐ手前まで来ていた。
俺は綾に気付かれないように電車を降り、急ぎ足で改札を出た。その直後から今度は一転、スローペースで歩き、後ろから綾が来るのを待っていた。
俺は綾が俺に気付いてくれるのを期待していた。
すると案の定、
「優くん!」
と、俺の肩を軽くタッチしながら声をかけてきた。
俺は心の底から喜びと嬉しさが込み上げてきた。それでも、あたかも偶然会ったかのように
「お、綾。偶然だな〜」
と、感情を抑えつつそう発した。
しかしこれは誰が見ても不自然だったことは一目瞭然だった。
それでも綾は自然な口調で会話を続けた。
「ねぇ優くん。私、傘持ってくるの忘れちゃって…。一緒に入らせて!」
俺は体中が一気に熱くなった。それってまさか…。
綾は俺の返事を聞く間もなく俺の傘に入ってきた。
「あれ、何か顔赤くない?何考えてるの。私達ただの幼馴染みなだけなんだから!」
「別に赤くなんかなってねぇよ!」
俺は無理に強がった。
…よく考えたら、綾には彼氏がいるんじゃないか。これはヤバイ。
それでも綾はずっと傘に入っていた。
「ホントありがとう。じゃあ、またね!」
綾は家に入っていった。



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