奈央と出会えたから。<47>

麻呂  2008-01-17投稿
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夏休みも終盤に差し掛かったある日の夕方ー。


あたしは、近くの公園のベンチに腰掛けていたー。


ブランコとシーソー、高さ2メートル位の滑り台しかない、何の変哲も無い質素な風景の、この公園も、あたしにとっては一番心が落ち着く場所だったー。


小さい頃からここへ来るのが大好きだったんだー。


母に叱られた時ー。

義理の父親に乱暴された時ー。


クラスメイトからイジメを受けた時ー。

辛い時、いつも一人で此処へ来てたんだー。


夏休みに入ってからは、毎日此処に来ていたー。


昼間は小さな子供達で賑やかな、この公園も、夕方になると人っ子一人居なくなるー。


そんな時間を見計らって、あたしは此処へ来ていたんだー。

あたしは絵を書くのが好きだったー。


風景画よりも、動植物、人物などをパステルで描くのが好きだったー。


この日もブランコに腰掛けて、絵を描いていたー。


そんなあたしの目に留まったあるモノー。


あたしの座っているブランコの横に小さな砂場があり、その砂場のコンクリートの仕切りの裂けた所から、懸命に這い出して来た一輪のタンポポー。


その姿に、


その生命力に、


その逞しさに、


あたしは小さな感動を覚えたー。


迷う事無く、あたしはその雄姿を描き始めたー。


強いね‥あんたー。

踏まれても‥


踏まれても‥‥。


這い上がって‥。


這い上がって‥‥。

ボロボロになっても‥。


クタクタになっても‥‥。


頑張って生きているんだねー。


あたしもこのタンポポの様に‥。


力強く生きていきたいー。


力強く生きて行くんだって‥。


そう思ったー。



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