今日こそ言わなければ…
拓也は決心していた。大学1年の夏から同棲している夏子に別れをきりだすのだ。就職活動が始まる前に。
朝起きると夏子はいなかった。まだ8時前なのにどこに行ったんだ?
オレが夏子と出会ったのは大学一年の春。サークルの飲み会で意気投合した。得に格闘技好きなオレにとって、夏子が空手でインターハイ3位に入賞した話には興奮した。ルックスもそこそこだったのでその日オレは夏子を家に誘い………
てな具合に過ちを犯してしまったのさ〜。もう堪えれない!だって彼女は西川史子もびっくりするほど…
ドSなんだもん。
同棲して初めて知った。夏子のプリンを食べると得意の回し蹴りが。待ち合わせに一秒でも遅れると三段突き。口答えには平手かローキックがついてくる!
「拓也はあたしのペットなんだよ!チワワなの。目の上を押したら目が飛び出そうなんだもん。」
やめてって言ったらこう返される。わけわからん。なんて女だ。
目覚ましテレビをつけながら歯を磨く。星座ランキングは〜と…
「今日のBADな星座は乙女座のあなた!ごめんね〜」
女子アナがかわいく言う。てかオレじゃん!やっぱ今日はやめようかな〜。
「でもそんなあなたを救ってくれるラッキーカラーはこれ!淡い恋を連想させるピンク!」
ピンクとかめったにないじゃん。
ふとテーブルに目を落とすと、ピンクの布が覆ってある皿が置いてあった。その横に夏子の置き手紙が。
(拓也の朝御飯だよ)
お、たまには彼女らしいこともするんだなぁ。ひらり。
ドックフードだった。
…やっぱり今日はやめとこかな〜。
つづく!