今日、母から大きな箱が送られてきた。
中には食べ物や生活用品が入っていて
あと、母が書いた手紙も添えられていた。
元気にしていますか?
お母さんはとても元気に過ごしているから、心配しないでね。
絵を描くの頑張ってね。
と、書かれていた。
元気に過ごしているから心配しないでね。
って、元気に過ごしている訳がないのに。
母は五年前に子宮ガンという病にかかった。
本人は大丈夫って言ってたけど、辛そうだった。
そんな母をおいて俺は家を出て都会で一人暮らしを始めた。
絵が描きたい。
そう言ったら、
分かった。
と、笑顔で母は答えた。
母とはそれっきり会話をしていない。
電話でたまには連絡してね。
って言われてるけど、忙しくてまだ一度も電話や手紙の返事をしていなかった。
箱から全部の物を取り出すと、奥から汚い絵が描かれたポスターが出てきた。
俺が小さい頃に描いた母の似顔絵だ。
似顔絵は何枚もあって、小学校一年から中学校一年まで描いた絵が入っていた。
その中でも、中学校一年に描いた母の似顔絵が一番、記憶に残っている。
...続く