入学以来、いつも学校を休みがちで、
滅多に顔を出さない北岡だったから、
殆ど話した事無かったし、何と言っても怖いと言うイメージがあったからー。
あたしにとって北岡は、ずっと近寄り難い存在だったんだー。
『木下‥。絵上手いんだな‥。』
スケッチブックから目を離す事も無く、北岡が言ったー。
『あは。ありがとう。』
あたしは嬉しかったー。
未だかつて、自分の絵を人に見せた事など無かったし、
見せるつもりも無かったからー。
自分の絵を褒められた事に対して、
素直に嬉しかったんだー。
『これは凄い才能じゃん?!俺なんて絵の才能全く無しだぜ?!』
そう言って、北岡は更にこう続けたー。
『さて木下〜♪ここで問題!!俺の美術の成績は何でしょう?!』
えっっ?!
北岡ってこんなキャラだっけ‥???
あたしはちょっとだけビックリ(?!)
だったー。
『え〜?!分かんないよ‥。5段階評価だから‥‥3?!』
あたしは無難な所でそう答えたつもりー。
『ばっか!!3なら普通じゃんよ。
1だぜ、イチ!!
最低のイチ!!』
北岡はそう言って、あたしのアタマを優しくポンッと叩いたー。
『‥‥イチ‥?!』
フォローの仕様が無く、思わず絶句したあたしー。
『ほら‥。ちょいとペン借りるぜ。
‥このスケッチブックに書くのは悪いから‥。なんか紙無い?!』
そう言った北岡にあたしはペンを貸し、
『あたしのスケッチブックに描いて言いよ。』
と言ったー。
『‥ちょちょいのちょいっと‥‥。
ほ〜い♪
出来ました〜♪
じゃあ〜んっっ!!』
北岡は物凄い勢いでスケッチブックに何かを描いたかと思うと、それをあたしに見せたー。