健二は、最近テレビで携帯小説が流行っていることを思いだした。
携帯小説とはいえ、中には人気がでて、本当に本として売られるのもあるようだ。
「これは小説じゃない」といった意見もあるようだが、実際にこれだけ流行っているのも事実だ。
健二は、電車内を見渡すと、相変わらず携帯電話をいじっている人が沢山いたが、「この中にも携帯小説を読んだり、作ったりしている人がいるのかな」と考え、自分自身もちょっとどんなものなのか、見てみることにした。
健二は検索サイトから適当に携帯小説のサイトを見つけ、覗いてみると、恋愛やミステリー、SFといった様々なジャンルがあり、それぞれのジャンルにも沢山の投稿が寄せられていた。
健二は、その中から適当にアクセスしてみたが、なるほど、確かに従来の小説とは全然違うが、一つ一つがそんなに長くないので、読みやすくなっていた。
健二は自分自身も試しに投稿してみようか、と考えたが、作るにしても、どんなジャンルを作ればいいのか分からず、とりあえずジャンルの分類を見ていると、「その他」という分類を見つけた。
その他は要するに、他のジャンルに属さないのだろうから、小説を作ろうにもまだアイディアが思い浮かばない自分には良いかも知れない、と思い、先ずは他の作品を読んでみることにした。
健二は、色々な表題の作品の中、「携帯小説」と いう表題を見つけ、あまりにもそのまんまな表題だったが、携帯小説に興味を持ち始めた健二は、何だか今の自分にピッタリな気がして、何気なくアクセスしてみた。