必然だったの?
結婚式、見覚えのある顔を見つけた。先輩。お酒の勢いもあって、彼に迫る。
出会った晩一夜を共にした。しかし、彼が私の‘彼氏’になることはなかった。4つ上の彼が好きな物は全て好きになった。でもエスプレッソ以外は。飲んだ後に顔をしかめる私に彼は言った。まだ君には早かったかなぁ。この味。
会う度にセックス。心が求める。相手を全身で感じながら尽きてしまう。
好きだった。彼も彼が教えてくれる物、彼のセックスも低い声も全て。都合のいい女でもいい。正直そう思ってた。
2年後突然彼は消えた。
心を壊した。忘れよう。何もかも。
3年後、友人の紹介で1つ下の人と結婚を決めた。
式の数日前、彼から突然連絡があった。
店に入ると、エスプレッソを注文した。少し遅れてスーツ姿で登場した彼は、[パスポートは持ってる?]指輪を手に私にプロポーズの言葉だった。私との関係にケジメと自信を付ける為、連絡を断ち転勤、海外への転勤が決まり私との結婚を決意したこと。無口な彼が今までの思いを口にした。
[鷹をくくってたのね。]言うのがやっとだった。以来彼とは会ってない。予定通り結婚し平凡な日々。ただお腹の赤ちゃんのパパが彼という事を隠して。