If the miracle occurs

梨亜  2008-01-18投稿
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能力は人によって違うらしく、僕は触れたものの心を読み取る「接触感応能力」を持っている。
実際僕は舞桜さんに教わったのだけど、どうやら誰にでも使えるってものでもないらしい。
原則的に人には秘密なわけだし。
現にエレナは使えなくて、昔はよくヤキモチをやいていたものだ。
僕がリィリアを生み出したときも、エレナはリィリアのロリータ(ていうのか?)なファッションを見て、僕に「ロリコン」だとか言ってふくれていた。デザインは舞桜さんがやってくれたので、別に僕がそういう趣味を持っているわけではないのだが。

リィリアは、もともとは魂だけの存在だった。
それを舞桜さんがデザインし、僕が創造した器に入れ、人工精霊リィリアは誕生した。
頭のてっぺんには大きなリボン。服装はピンクで、フリルやレースたっぷり。セミロングな巻き毛の金髪に、オッドアイの瞳。
甘えん坊で泣き虫で、甘いものが大好き。
そんな子ども子どもした子どもなリィリアも、今では立派なパートナーだ。
一方ヴィオードは、リィリアに比べるとずいぶんとおとなびている。

「…お?」
気付けば、時計の張は6時半をまわったところだった。
そろそろエレナを起こすか。
そう思って僕は、適当につけていたテレビを消し、スイッチを消してから、もそもそとこたつから這い出た。

エレナの部屋の前に立ち、軽くノックをする。
返答がないのはいつものことなので、僕は何ごともなく扉を開け、部屋の中に入って行った。
「おい、エレナ。起きろ。今日は入学式だろ」
「う…ん?」
エレナはバッと跳ね起きた。
「そう、そうだよ!今日は入学式だ!!」
嬉しそうに微笑みながら言い、その後に「おはよう、お兄ちゃん」と続いた。
眠れない僕もどうかと思うけど、跳ね起きるエレナもどうなんだ?
「起きたか?」
「うん!」
いつもの確認も忘れずに。
「じゃ、さっさと着替えて準備して…」
「は〜い!!」
他愛ない会話もこなしてから、僕はエレナの部屋を出て、台所に向かった。
舞桜さんが作っていてくれたらしい焼魚とみそ汁を温め直し、それから冷蔵庫にあった漬物も皿にわけた。
丁度そのとき、エレナも階段を降りてきた。
雨森の、制服を着たエレナは、なんとなくだけど、ちゃんと「高校生」に見えた気がした。

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