If the miracle occurs

梨亜  2008-01-18投稿
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大きな赤いリボンを短いポニーテールに結び、ゆらゆらとゆらしているそいつの名前は、紫藤美空(しどうみく)。圭太同様、腐れ縁の幼馴染みだ。
「ひっかかる方が悪いんだよーぅ!」
毎度毎度ご苦労様だな、圭太も。
「つかお前、いいかげん学べよ」
「なんで被害者の俺が悪者なんだよ。ひどいな」
わざとらしくせきこみながら、圭太が泣きそうな声で言った。
「悪いとは思うんだけど、ひっかかる前にひっかけろ、があたしのモットーなんだよね」
「お前の周りはいたずらをしかけるやつばかりなのか。それは大変だな。恐い恐い」
またずいぶんと大変なことをモットーなんぞにしやがって。
「聞き捨てならないなぁ?なら今度は類専用のとんでも内容のいたずらを用意しちゃおうかなぁ」
成長しないな、こいつも。
そして、成長しないのがもう一人。
「俺を無視して話を進めるな!」
僕はともかく、美空からは完全無視だったな。
それからはまた教室内で、他愛もない話をした。

「そういえば、聞いた!?うちのクラス、転入生が来るんだって!」
しばらく話をしていたら、急に美空が言い出した。
話をすりかえやがったな。
「お、初耳だ。どこで手に入れるんだ、そんな情報」
圭太の質問を、美空は「乙女の秘密☆」で片付けた。誰が乙女だか。
でもその「転入生ネタ」には、少しだけど、なんとなく興味があった。
僕は、美空の座っている椅子の背もたれに置かれた手に、すっと触れた。
なになに?
『実は、校長が舞桜ちゃんに話してるの、聞いちゃったんだよね〜♪どんないたずらでお迎えしようかなぁ…♪』
本当なのか。しかし心の中までお気楽だな。
「おい、どうかしたか?類?」
「ん。いや、ぼーっとしてた」
圭太の問いに、やっぱり適当に答えてから、僕は美空の方に向き直った。
「ん?なに?」
美空は首をかしげ、またもポニーテールをゆらす。
「ほどほどにしとけよ」
美空がいかにもギクっとした様子が、面白かった。
「なんのことだかわかんないなー♪」
あくまでしらばっくれるつもりなのか。

またしばらくすると、朝のH・Rの始まりを知らせるチャイムが鳴った。
それまで楽しそうにおしゃべりをしていたグループも、さっさと解散し、各々席に戻って行く。
僕たち三人も、それぞれ席に戻った。

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