ともかく
と、新八は沖田や土方に聞かせた話をした。 しかし、近藤にはよくある化物話にしか思えない。岩の様な面を
ぐい
とひねった。
「嘘じゃぁねぇよ、しっかり見てるんだ、それにあの潰されそうな程の殺気・・・、なぁ、総司。」
沖田も黙って頷いた。いつもの笑顔に影が差している。
また岩の面を
ぐい
とやった。
「歳三はどう思う?」
「うむ、俺は仕方ねぇと思う。まだ納得はしてねぇがな。」
近藤は腕組みしていた手を
ぽん
とやって膝を打った。
「よし、分かった。」
とは言っても
このままではまずい。
「腰の物がなくては、男として通らんな。」
近藤が言い終えるより早く新八が立ち上がった。
「それならな近藤さんもう用意が出来てる」
また何処から持ってきたのか、小振りの大小を下げてきた。
それを差させ、他の荷物部屋に居させることにした。