『ぷっっ‥‥。』
思わずあたしは吹き出したー。
『おっ?!笑ったな?!ひっでぇー。』
そこに描かれていたのはー
あたしの似顔絵だったー。
『あはははは‥。』
あたしはおかしくて笑ってしまったー。
何日ぶりだろうー。
こんなにお腹の底から笑ったのはー。
笑っているあたしのそばで、北岡は少し照れていた様で‥
ポリポリ頭を掻いていたー。
“きのした なお のかお”
そう書いた字体や筆跡が、
どことなく北岡の悪ガキぶりを表している様で‥
あたしは何故かとても不思議な、愛おしい気持ちになったー。
『木下。まだここにいんの?!』
そう言って北岡は、ブランコに腰掛けたー。
『ううん。あたしももうすぐ帰ろうかな。暗くなってきたし。』
北岡に連られて、あたしもその隣のブランコに腰掛けたー。
『北岡君こそ、何か他の用事で此処通ったんでしょ?!
帰らなくて大丈夫?!』
あたしがそう言って隣のブランコに座っている北岡の方に目を向けると‥
そこにはー
とても悲しそうな表情の、彼の横顔があったー。
『‥ん?!‥何?!』
北岡はあたしの視線に気付いて振り向いたー。
とっさに話題を変えようと焦ったあたしー。
『え?!‥あ‥。あたしさ、北岡君は知らないと思うけど、母子家庭で‥。お母さんが朝から晩まで働いてて‥。
そ、それで‥。』
あ〜!!もう!!何言ってんだろあたし‥‥。
いきなり支離滅裂!!
すっかり動揺していたあたしー。
『‥ぷっ‥‥。
くっくっく‥‥。』
北岡は笑いを堪えていたのか、突然吹き出したー。
『木下って面白いのな?!‥‥ハハハ‥。何?!緊張してんの?!‥俺に?!』
あたしは自分の顔が真っ赤になっているのを感じたー。
は、恥ずかしい〜!!
『知ってるよ‥。』
不意に北岡が答えたー。
えっ?!‥‥‥。
『北岡君?!知ってるって‥?!』
あたしは一瞬、北岡が何の事を言ったのか、理解出来なかったー。