『何でもねぇよ‥。』そう言って、北岡はブランコを漕ぎ始めたー。
北岡は何を言いたかったのかな‥。
“知ってるよ‥。”
もしかして‥。
さっき話したあたしが母子家庭だって言ったコト?!
『木下。もう暗いし危ねーから、俺が家まで送ってやるよ。ほらっ‥。』
北岡はそう言うと、あたしに右手を差し出したー。
凄い強引‥‥。
見た目はクールで、ぶっきらぼうで、
何考えているのか分からない様に見えたけどー
本当は情熱的で優しくてー
色んなコト考えていたんだね‥‥。
学校の中での北岡が、怖くて近寄り難いイメージだったのはー
単なるあたしの思い込みによる人見知りに過ぎなかったんだね‥‥。
あたしは家までの道のりを、
北岡と手を繋ぎながら歩いた‥‥。
お盆を過ぎた北海道の夏の夜に半袖は、
少し肌寒く感じられたけど‥‥。
北岡と手を繋いで歩いたから‥‥。
少し暖かかったかなー。