最近、俺は転職し、研修として少しの間だけとある地方都市で暮らすことになった。
引っ越して数日経ったある日、俺は気まぐれにサイトの援助交際募集の書き込みを見つけ返事を出した。
しばらく経った後、その相手の娘から返信が来た。
『明日の夜8時に逢おう…』
と約束した。
当日、待ち合わせ場所に着きメールを送ると…
『もうすぐ着く。あと10分ぐらい待って。』
とのことだった。
だが、予定の時間はとっくに過ぎている。待ってもその娘は一向に来る気配はない…。
痺れを切らした俺は、催促のメールを送った。
返ってきた返信には…
『ビジネスホテル裏のコンビニまで来て。』
そのメールを便りに、右も左もわからない‥初めて来た馴れない街中をしばらく歩き、信号の無い小さい交差点の角に立つコンビニに着いた。
あたりを見回しても人影はない。店の中にもいないようだ…
しばらくコンビニ近くの交差点で待ったが現れない‥
もう帰ろう…と諦めかけたその時、ふと向かい側を見ると薄暗い街灯に照らされながら女の子が1人佇んでいた…
いつのまにか現れたその娘は、俺に向かって近付いてきた。
『〇〇さんですか…?』
晩秋の夜の街角で‥俺はその娘と初めて出会った…
色白の肌‥子供のように無邪気な笑顔を浮かべるとても可愛い表情‥
それでいてどこか謎めいた、妖しいミステリアスな魅力があった…
初対面なのに俺は、その娘の醸し出す妖艶な魅力に惹かれていた。
一目惚れだった…
その日を境に俺は週1回のペースでその娘と逢うようになっていた。
俺はその娘のことを本気で好きになっていた。
でもその半面…
俺はただの客でしかない‥客じゃない時は近付くことができない…。
これはあくまで割り切りなのであって、本気になってはいけないのに…
地元に帰る日が近付いたらこの娘に気持ちを伝えようか‥どうしよう…
でも地元に帰ったらもう二度とこの娘には逢えないかもしれない‥寂しいよ…
逢いたい‥片思いでもいい‥大好きだよ…
あの娘のことが頭から離れない…いろんな気持ちが交錯し合う…
こうして想っている今も…
あの娘はまた夜の街角で他の誰かを待っているのだろうか…