地獄へのカウントダウン

ジュン  2008-01-19投稿
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『で、君は逃げ切れるのか?』
カンドルは軽快に走りながら言った。特等兵だからこそ言える生意気な口調だ。

今、俺たちパリス王国軍の兵たちは西に向かって逃げていた。長かった戦争についに負けたためだ。
パリス国王は昨日、相手国のクワート国の政権を握っているミンジスと直に会い、降伏の意志を伝えた。それを聞いた軍の兵は、怒りを覚えた。兵力は劣っているが、確実に敵軍をクワート国領にまで追い詰めていた。休戦時に報告を聞いたため、怒りを抑えながら、すぐ国に戻ることが出来た。

しかし、ニット達三人は怒りを抑え切れなかった。こんな事態を巻き起こす原因はニットと同じ二等兵のポルスだった。
『この際、俺達だけでも最後までクワートを攻めようぜ』
ポルスは二等兵ではあるが運動神経は特等兵に負けないくらい優れている。しかし、剣術は一般人レベルと馬鹿にされる程、下手なので普段から剣を持たずにフルーツカッターだけで戦っている。まぁ、動きが速いのでそれで充分である。
その意見にはニットは大反対だった。戦いで優勢だったからと言って三人だけで勝てるわけがない。しかし、カンドルは賛成した。
『それはおもしろいな。少人数ならば移動が速い。敵の隙を狙って攻撃できるな。』
さすがにカンドルが賛成してしまうと反対できない。パリス軍最強の兵士と呼ばれるまで強くなったカンドルには逆らっても権力の差で負けてしまう。やはり命を捨てにいくしかなくなってしまった。

今はクワート兵、五人に追われている。カンドルはさっきから俺を馬鹿にしながら走っている様子をみると、この状況を楽しんでいるようだ。ポルスはニット達よりも数メートル前を走りながら歌を歌っている。

こんな状況になったのもポルスがクワートの首都、トワークでメタルボムを爆発させたせいだ。メタルボムとはパリスの戦争用武器研究グループが作ったもので、半径5メートルにいる人間を一瞬に殺してしまう恐ろしい爆弾だ。
クワート兵との差は相当離れた。すると、ポルスは距離を確認して止まると、ポケットからメタルボムを取り出しクワート兵に向けて投げた。数秒後爆発し、クワート兵の姿はみえなくなった。

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