*この小説はニートの方々を批判、軽蔑する意図はありません。またニートの定義は曖昧です。
ちなみに政府の発表によると現在ニートの人口は18万人いると言われています。
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2025年
日本は危機的状況にあった。
長引く不況により財政の破綻。
就職氷河期の到来。
そして経済力、技術力そのものの低下により、最早かちて経済大国と呼ばれた日本の面影は薄れ始めていた。
そして海外に目を向ければ、
中国、インドの先進国化。
7年前に統一された南北朝鮮の急速な成長。
そして共通して言える事は…インド、中国、朝鮮の富国強兵政策による軍事力の増大と強化であった。
極東地域は各国の陰謀が渦巻く火薬庫と化していた。
そしてそんな物騒なご時世であるが為に、国民は平和平和て言っている場合では無い…との考えると同時に、現在の経済危機と日本の平和を保証してくれる『英雄』を待ち望んでいた。
英雄待望論…危機的状況になる程、人々はカリスマ的な指導者、革命児、即ち英雄を求める。
こうして自ずと人々はカリスマがヒーローであろうがダークヒーローであろうが彼を選ぶ事になった。
2025年
自民党の党首、軍皇義教(ぐんのうよしのり)が内閣総理大臣に任命された。
彼はカリスマであり、独裁者であった。
彼はまず最初に、憲法九条を改正し軍事費を増大。
更にシビリアンコントロール(文民統制)を崩壊させて、軍の発言権を強めた。
彼がそこまでやっても国民に反対する者は居なかった。
戦国時代の様な時世が国民、政治家達を疑心暗鬼にさせて、自国を守る為には何をしても構わないという風潮が蔓延していたからである。
そしてそんな風潮の中、後の世に『悪法』と呼ばれる事となるある法律が誕生する。
物語はその法律が施行される2030年に始まる。