宝物11

ラク  2008-01-20投稿
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授業が始まってもその日は全く苦痛に感じない。
全てがいつもと違って見えた。
あの阿部にさえ気持ちよく挨拶できるほどだった。
昼になっていつものように学食に行ったが、その日は何となくいつもと違ったものが食べたいと思い、ハンバーグ定食を食べることにした。
席に座ったとき、俺はあの女がまた来てほしいと思うようになっていた。
すると、俺の気持ちを察したかのように女はやって来た。
「…あの、そこ、いいですか?」
女の顔は少ししょんぼりしていた。
「どうぞ!」
俺が明るい声でそう言ったとき、女の顔の曇りがなくなり、穏やかな顔に変わった。
やはりその声の主は昨日の女に違いなかった。顔もやはり同じだったが、昨日と今では表情は正反対で、まるで同じ人を見ているとは思えなかった。
しかし俺はどうしても聞きたい事があった。なぜいつも俺の隣に座るのか?確かにこの前はすごく混んでいてほとんど席は空いてなかったが、今日に至っては他にもたくさん空いている。それなのになぜ?
「あの、どうしていつも俺の隣に座るんですか?」
普段ならこんな言葉言えるはずもないのに、今日は何のためらいもなく出てきた。
するとその女は意外な言葉を発した。
「あの…、これ…、渡したくて…」



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