「グリット」
名前を呼ぶとグリット静かにこっちを向き、
にっこりと笑った。
「なに?」
「大丈夫だよ」
緊張したような彼の声に、
アーモンドは優しく返した。
グリットは死をすごく恐がる。
「ごめんね。僕、怖がりだから」
「そんなこと無い。グリットは強いじゃないか」
「ううん…今回は、間違わないから…」
グリットは誓うようにアーモンドに言った。
アーモンドやグリットなどの8人少年達で作られた軍を“メーカー”と呼ぶ。
メーカーはただ闘うために作られた軍団である。
この村に危害をくわえる妖怪や災害を対処するのが彼らの役目だ。
たまに人助けもする。
グリットは昔、妖怪に殺されかけた。
それはグリットのせいではなく、妖怪が強すぎただけなのだが
彼はそれ以来自分を攻め続けている。
「メーカー」
村長が彼らを呼んだ。
メーカーが素早く村長の周りに集まった。
「今回のことは、お前達に任せきる事はできん。危険すぎる」
村長はゆっくり話しながら彼らの顔を見る。
仲間のリンツが口を開いた。
「じゃあ誰が相手するんだい?」
「それはまだ分からんのじゃよ」
村長が困り果てたように言うとアーモンドが割って入った。
「俺達だけでいい」
空気が痛いほど張り詰めた。
「…………」
しばらくして村長が重い口を開いた。
「何故じゃ」