なんとなくすぐ帰る気になれなくて、誰もいなくなったホームのベンチに腰かけた。
「いくらあたしが大好物だっていったって、こんなに食べきれるわけないじゃん。」
まったくお姉ちゃんは加減をしらないんだから。
ひとくし食べてから帰ろうと、包みをもちあげると、その下にもうひとつの包みがみえた。
巾着?
何だろ、と引っ張りだした瞬間、だめだった。堰をきったようにあふれだした。
巾着のなかにはたくさんの小銭が詰まっていた。
若い姉たちが、年頃のおしゃれもせずに妹の私を大学にいれた上に、楽ではない生活の中からどんな思いでためただろう。
それでも姉たちがそれを苦労と思わないほど私を大事に思ってくれることを、私はしっていた。