和斗に裏切られた──
というか最初から和斗はあたしの味方なんかじゃなかったんだ。
深刻な話と判断したようで涼歩は紗里の車を出て自分の家に先に入っていった。
紗里は涼歩の気遣いに感謝した。
「あたしは……っ」
『俺さぁ結婚するんだ。』
……今………
……何て…………
「……けっこん…??」
『そう。結婚するんだ。女との間に子供出来てさぁ。二月に産まれる。』
───結婚……??
─────子供……??
──────奥…さん……??
「そっ……か…よかったね。おめでとう…」
『サンキュッ!俺さぁ紗里からすきとか言われてないけど俺のことすきだったんだよな??』
──あたし…すきて言葉も伝えてなかった。
「うん…すきだったよ。」
ほんとは過去形じゃなくて現在(いま)もだよ……
『そっか。ありがと。俺もすきだった。』
あなたは過去形なんだね───
翔吾
どうか
どうか
幸せになってください
あたしに人を愛するということを教えてくれた大切な大切な人だから──
隣にいるのがあたしじゃないのはすごく悲しいけれど
幸せになって。