ガタタン!!
椅子がこけた。
関西の人なら「なんでやねんっ」と思いきり突っ込んだだろう。
「き、奇遇ですね!お、俺も滝です」
…なんだこりゃ?俺が偽物みたいじゃないか。
「出たな偽物!お前と俺のどっちが真の滝か、勝負しようぜ」
盛り上がってる一同。
「い、良いよ!やってやるよ」
目標は5万円獲得の阻止に変更。
昔から性格がねじまがってたし島の奴らとは馴染めなかった。
再会して今更どうこうと言う問題でもない。
一同がで静かだ。でも、皆のギラギラした目に5万円が見える。
「と、ととりあえず、乾杯しません?」
人に見られるのには慣れてない、声が震えてる。
「あ、そうだな。乾杯。」
全体的に神妙な感じだ。
皆の自己紹介が始まった。
皆、中学から一緒らしい。
俺だけが私立に行ったらしい、偽物を作るにはもって来いなわけだ。
自己紹介が終わった。
バーの店主がおつまみを持って来て、次々に手が伸びている。
「ねぇ、滝君って童貞?」
静まる一同。だが御下劣な質問だからじゃない。
5万円のヒントになるからだ。
「いや、最近まで彼女いたよ」
ビール腹の男は言った。
俺に皆の視線が来る。
「どど、童貞だよ」
質問がビール腹に浴びせられる。
俺は童貞じゃない。
入社するまでは大学で数えるくらいの人とシた。
まぁ別に良いケド。
思案に暮れていた時にビール腹の声が聞こえた。
「大学では対外プレイボーイだったよ」
…嘘だぁ。
どこまで知ってるんだ?
むしろ何処まで調べたんだ?
「大学じゃあ美術サークルに入ってたよ、あの時は良かったな」
ボロが出ない。大学では美術サークルに入ってたのも確かだ
まぁ俺が偽物だと言われて皆5万円チャラだ。
「今仕事は?」ハゲが発言。
「お、俺は商社マンになった」
「じゃあ俺は総理大臣だ」
…何を言っているビール腹。
でも皆笑ってる。酒で皆が出来上がりつつある。
ちょっとトイレに行こう。とトイレに立つ。
そこで会ったトイレから出て来た女、こんなのいたっけか?という可愛さ。
「久しぶりだね。滝君」