「ユウタ、俺達の初陣が決まったぞ」
オルスは次席で卒業した同期だった。オルスは南アフリカ出身で長髪の白人だ。
「マジか?場所はどこなんだい?」
「地中海で共和国の北アフリカ進攻を迎え撃つ、エセ正義主義者どもをこれ以上調子に乗らせるわけにはいかないからな」
地中海…今戦火が1番激しく勢力は拮抗している状態だ。
「今の話、確かかい?」
振り向くと、セザンヌが立っていた。
セザンヌも同期の仲間であり、彼の戦闘機射撃成績はずば抜けていた。
「ぁあ、エイト大佐に聞いたからな…確かだよ」
とオルスが答える。
「絶対空母を落としてやろうぜ」
「言うまでもない」
内心僕は不安もあった。模擬戦でも討たれることはなかったが実戦ではどうか…
しばらくしてミーティングルームにエイト大佐が入って来た。
皆立って敬礼をする。
「明後日、14:00より地中海へ出発する。ユウタ、オルス、セザンヌ、レイチェル4名は各自荷物をまとめるように」
「レイチェル…!?もでありますか?」
オルスが驚き聞く。
「確かにまだ18才の女だがな…。一小隊に一人は医療に長けている者を連れていかねばならん。まぁ、空軍学校での成績も6位と悪くはないではないか。そういえばレイチェルはどうした?」
「恐らく仮眠中ではないかと思います。彼女は昨夜医務室での夜勤だったので」
「そうか。ならユウタがレイチェルに伝えといてくれ」
「了解しました」
エイト大佐は部屋のドアに向かって歩いて行った。
「レイチェルもかよ…足引っ張らなければいいけどな…」
セザンヌがつぶやく。
「セザンヌ!」
ドア前のエイト大佐が叫ぶ。
「は…はい!!」
「お前は7位だろ?www」
そう笑いながら言って部屋を出て行った。
僕らもその後笑った。
明後日の地獄を知らぬままに…