「今日ね、ミカはまだダイキのこと好きだよって言ったんだ!」
「えっ?どういうこと?」
ミカの口から理解できない言葉が飛び出した。
「エリさ、ミカがヒロシ君に片思いしてるときに、ダイキにミカのことで相談されたんでしょ?」
ミカの目が笑ってない。
「ミカ知ってたよ!エリがダイキのことが前から好きだったこと。」
頭の中が混乱してしまって言葉が出ない。
池の鯉みたいに口だけがパクパクしてしまっている。
「ミカの部活が終わるのを待ってるダイキと、よく教室で話してたのも知ってるよ!」
取り調べをされているかのようだった。
「エリ、ひどいんじゃない?友達の彼氏横取りするなんてさ。」
「横取りなんてしてない!ミカがダイキをふったんだよ!」
ようやく出た声も、震えてしまっていた。
「エリはずっと、ミカとダイキが別れればいいって思ってたんじゃないの?」
「違う!」
ミカにそんなふうに思われていたことがショックだった。
「エリばっかり幸せになるなんてずるい!ミカにダイキを返してよ!」
誰もいない教室にミカの声だけが響いた。
「ミカはエリのこと許さないから。」
ミカはそう言って教室をでていった。
今日、ダイキの様子がおかしかったのはこのことだったんだ。
そして、ミカに違和感を感じていたのもこのことだったんだ。
私の浮かれた行動で、また人の心を傷つけた。
今までミカは、私とダイキが一緒にいるところを見てどう思ってたんだろう。
さっき言ってたみたいに、許せなかったのかな。
ダイキに会わせる顔がない。
『先に帰るね!』
メールを送るとすぐに教室を飛び出した。
誰にも会わないように急いで学校をでた。
家に着いてもずっと落ち着かない。