次の日。
初めて学校を休んだ。
ダイキも、ミカも、サチコも、コウヘイも、みんなに会いたくなかった。
みんなにどう思われていたのか、不安でしょうがなかった。
そして、一番不安だったのが、ダイキのミカへの気持ちだった。
ダイキは今もミカが好きなの?
ミカになんて答えたの?
ダイキは私のことどう思ってたの?
頭の中をいろんな考えが駆け巡る。
ぐしゃぐしゃになってしまいそうだった。
その時、いきなり携帯が鳴った。
サチコからのメール。
見るのが恐くなって電源を切った。
ベットに潜ったまま一日を過ごした。
ミカのあの顔が忘れられない。
ご飯も食べれなくなって、吐いてしまう。
お母さんは心配して病院に行こうと何度も説得しにきたけど、断り続けた。
学校を休んで3日目の夕方。
玄関のチャイムが鳴った。
お母さんが誰かと話している声だけが聞こえた。
何も考えないまま、ただ夕焼けに染まる空を眺めていた。
「エリ?俺だけど。」
いきなりドアの向こうからダイキの声がした。
「入るぞ?」
ゆっくりとドアを開けてダイキが部屋に入ってきた。
私は窓の所に座ったまま、ただ何も言わずにダイキを見つめた。
「エリ、ごめんな。」
ダイキの言葉に体が固まった。
私ふられるんだ。
ダイキはミカの所に戻ってしまうんだ。
そう思ったら涙があふれた。
「私…ふられる…の?」
震えた小さな声でダイキに問い掛けた。
涙でダイキが見えない。
うつむいくと、突然ダイキに抱き締められた。
「ミカから話聞いてきた。エリ、ごめんな。不安にさせて。」
ダイキの心臓の音が聞こえる。
「ミカとはもう終わったんだよ!」
ダイキの腕に力が入る。
「ミカにも、ちゃんと伝えた。エリしか好きじゃないって。」
ダイキの言葉を聞いて、どんどん涙があふれてきた。
「もぅ1回言って…」
ダイキの背中をそっとつかんだ。
「エリが好きだ。」
ダイキの暖かい手が抱き締めたまま頭を撫でてくれる。
「学校に出てこいよ。コウヘイもサチコも心配してる。みんなエリのこと大事に思ってるよ。」
ダイキの声が心に響いていく。
不安でいっぱいだった心がゆっくりと包まれていく。
本当はみんなに嫌われていたんじゃないかって臆病になってた私をダイキはいとも簡単に安心させてくれた。