何の利益も無い
何の幸せも望みも
ただあなたの『恋』に惹かれた
懸命に誰かを愛して
その一生懸命さに時に苛立ちを覚えたりもした
愛されている相手を羨ましく思ったり恨んだり
そんな馬鹿馬鹿しい気持ちよりもあなたに対する憎しみにも近い思い
頑張るあなたが愛おしい
無理をするあなたがたまらなく欲しい
奪えばいい
あなたが違う場所へ向けた想いを自分へと奪ってしまえばいい
そんなものではない
それじゃあ意味が無い
あなたが誰かに恋をして無邪気に笑ったり泣きたいときに素直に泣けたり
ときに不機嫌だったり
私は好き
そんなあなたの喜怒哀楽を側で感じて私も同じように真似てみるんだ
恋するあなたが好き
手にしたいとは思うけど手を汚さずに身を引くことも必要
初めから知っていた
利益は無いと
見守る想いは届かないと
だけど辛くないわけではない
恋に傷付いたあなたがそこに居て
手を延ばしたい気持ちで一杯になって
『こんなに苦しいなら心臓なんていらない』
と不意に漏らしたあなたの言葉が胸に突き刺さる
あなたの恋が実るように願っていたのに
あなたの『恋』に恋していたのに何故か沸き上がる想い
悲しそうな表情と流れる涙に張り裂けそうに心が痛む
『こんなに痛いなら心臓なんていらない』
真似をする私にあなたが微かな笑顔を見せる
その瞬間とめどない安心感とあなたへの無償の愛が大きく膨らみ始める
『あなた』が好き
向いてくれなくてもいい
どんなあなたも好き
やっと気付いた
あなたが選んだ『恋』だから好きだった
目の前で泣きながら笑うあなたをこの腕で抱きしめたくてたまらなくなる