If the miracle occurs

梨亜  2008-01-22投稿
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目の前に立つ、小さな小さな女の子。
お人形さんくらいのサイズで、人に例えるなら、せいぜい赤ちゃんくらい。
でも、その子は普通に立っているし、しゃべっている声もした。
沈黙が流れる…。
そして、しばらくすると、女の子が沈黙を破った。
「…リ、リィリアは、お人形さんなの。決して、精霊さんなんか…じゃ、ない…なの…」
お人形?精霊?
な、なにが起こっているの?

「リィリア、遅いな。なんかあったのかな」
なかなか帰って来ないリィリア。
僕は不安を隠せなかった。
「チビチビのことです。ドアが開けられなくて、困っているですよ」
「だといいけど…」
そのわりには、ドアの開く音がした気がするけど。
ヴィオードはリィリアのことを、チビチビとか言っているが、実際背丈は変わらない。
ヴィオードを行かせるわけにもいかないし…。
かと言って放っておくと、あとが恐いしな。
しょうがない。
僕は、だるさの残った体を起こし、部屋をあとにした。
階段を半分くらい降りて、僕は手すりのわきから、ひょっこり顔を出した。
「おーい。リィリアー?どうし、た…」
声がだんだん小さくなっていくのが、自分でもわかった。
信じられない光景。
ドアはちゃんと開いていた。
だけど…。
ドアの向こうにいたのは、エレナではなく…。
「…悠里亜…?」
そこにいたのは、他でもない転入生、悠里亜だった。

時は流れて、五時頃。
見られてしまっては、しかたない。
僕は僕の部屋で、リィリアのこと、そして、僕の魔法についてのことを、全て悠里亜に説明し終わったところだった。
そのとき、勢いよく玄関のドアが開き、それでいて二階へと登って来る音がした。
「おにーちゃーん!ただいま〜っ!誰かお客さん来てるの〜?」
玄関においてあった、この家の誰のものでもないローファーに気付いたらしく、エレナはそう言いながら、階段をかけ上がって来た。
「ローファーだったけど、もしかして女の子〜?」
冗談で言ったのであろう一言だったのだろうが…。
それは、現実のことなのだった。
僕の部屋のドアも勢いよく開けたエレナの顔から、冗談笑いが消えていくのが、目に見えてわかった。



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