あれ?さっきこんなかわいい小娘いたか?
「あ、信じてくれるんだ。俺偽物かもよ?」
彼女の綺麗そめた茶色い髪がふわっと揺れた。
「別にどっちでも良いよ。そんな事…。でも、」
ちょっと背が低いくらいだ、165cmくらいかな。
全体的にピンクだが、下品な色じゃない。桜に反射した白いセーターみたいな色。スカートは長めで、尻軽そうな女じゃなかった。
「あなただと良いな。」
「え。うん」
なんだあの子は。発狂するくらい可愛い。
あの子なら5万円とられても良いかな。
…でも5万円だ。
リアルに欲しいしな。
でもせめて…あの子のメアド欲しいもんだなしかし。
あんなのいたかな?
学校に。
「誰か入ってるの?」
後ろから声がした。
…あ、トイレ入ってないや。
振り返ると、学級委員だった和代(かずよ)が後ろにいる。
「いや、次俺なんだけど立ちくらみしてた」
駆け込んで扉を閉めた。
途端に静寂だ。
…全然楽しくない同窓会だな。
でもあの子可愛いよな。
なんて思いながら用を済ませた。
席に戻る。
どんちゃん騒ぎだ。
もう俺が偽物であれ本物であれどうでも良いようだ。
さっきトイレで会った娘が独り手酌で呑んでいた。
誰も見てない隙に横に座ってカウンターでハイボールを注文した。
「よく呑めるね。」
口火を切った彼女。
「もぉ大人になって二年ですから」
「大人2歳か。」
「うん。…でさ、名前。」
「紗耶。近藤 紗耶…滝君とはあんまり喋らなかったね。」
「さや…へぇ、変わったね。」
「変わったかな?」
「変わったさ!明るくなったんじゃない?」
「フツーだよ。特に何も変わってない。」
「今…何してるの?」
「服とか売ってる、滝君は?」
「さっき言ったけど、リーマンだよ。…あの頃は絶対なりたくないと思ってたけど、なってた。」
「…賞金稼ぎだったかな」
彼女が笑みをこぼす、いちいち反応にドキッとしてる。
「賞金かけられてんじゃん」
確かにっ!だけど不本意だから。全く余興があるとか考えてなかったし。
「まぁ、アタシさ、滝君嫌いじゃなかったよ。」
なんだ?彼女…俺のハイボール飲んでる…え?
飲めないのかよっ!!!