星の蒼さは 14

金太郎  2008-01-23投稿
閲覧数[622] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「ハイッ!以後気をつけます!!」
「まだなにも言ってないでしょ!?」
「ハイッ!申し訳ありません!」
またこれだ。滝川の顔を見た途端に直立不動になった晴(ハル)は大声で謝罪の言葉を連呼。
心が籠もってないにも程がある低姿勢のこの新兵、卯月晴上等兵は入隊と共に、その天賦の問題児ぶりをいかんなく発揮し続けている。
食堂には十数人程の兵が集まっている。食堂である所を考えると食べ物関係の可能性が一番高いか。
「説明しなさい」
さすがに直立不動を維持するのは無謀と判断したのか、晴は防衛を放棄し、責め手に回る。
「こいつが!……いや、野口上等が俺の特配のラーメンのチャーシューを一枚喰いやがったんだす!」
『です』と『だ』が一緒になってしまったマヌケで、聞く価値もない言い訳に対し、大兵、野口上等兵は反論する。
「なんだと!?一口やるぞって言ったのはこの野郎でありまするぞ!」
慣れない敬語程アホらしいものはないな。と溜め息をついてみる。
全くもってくだらない話。こんな喧嘩にイチ巡洋艦の艦長が出張らなくてはならないの?滝川はこれまた何十回目かのセリフを言った。
「卯月晴、野口大助両上等兵は休憩時間に甲板掃除!」

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 金太郎 」さんの小説

もっと見る

SFの新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ