双賊演義?

KOH.  2006-04-14投稿
閲覧数[703] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 俺は普段から、自分の感情を表に出すことはあまりない。だが、この時ばかりは、少々驚いた。
 …こいつ、なかなかやってくれるじゃね〜の…!!
   * * *
   第?話:遭遇
   (トレインside)
   * * *
 その日俺は、貧富の差の激しいこの街で、邸宅の地下に牢を造り、金にモノをいわせて若い女を捕らえてきては淫虐の限りを尽くす、愚かな権力者の男を1人"断罪"してきた後だった。おいとまする際にふんだくってきた金目のモノは、馬鹿な権力者のせいで貧困生活を余儀なくされていた庶民に上手くばらまいてやろう。そう考えながら、目立たないように群衆に紛れ、仮住まいへと急いだ。
 俺の仮住まいは、国内各地にいくつか点在している。もちろん、俺が巷で噂の"Electrocutionist(エレクトロキューショニスト)"と呼ばれる義賊であることに気付かれないよう、様々な工夫をしている。故に、何ら不信がられることなく、俺はそこで生活している。これまでバレた試しはない。
 …これまでは、ね。ケドこの後、俺の「カンペキ」が脅かされることになるとは、思いもしなかった。
   * * *
 俺が仮住まいに帰ると、TVでは今しがた俺のこなしてきた仕事がとりざたされていた。今回はやけにコトが公になるのが早い。
 『…本物の執事が気づくのが早かったか?』
 俺は今回、愚かしい権力者を断罪するのに、彼の邸宅の執事に化け、そして葬った。本物の執事は。地下牢で女遊びに興じようとしに行った主がなかなか帰ってこないので、心配して見に行った結果、偶然にも彼の屍の第一発見者になってしまったんだろう。
 かわいそうに、何の得もないモノを見てしまって…。
 『「かわいそうに、何の得もないモノを見てしまって…」とか思ってるんじゃないですか?』
 『!!?』
 俺は素で驚いた。声も出なかった。俺しかいないハズのこの部屋に、誰かがいる。しかも、この俺に、気配を感じ取られることもなく…。
 『誰だ!?』
 姿の見えない「誰か」に問いかける。すると、声は答えた。
 『あなたと同種の人間ですよ。今日は、ただ、挨拶に来ただけです』
 『挨拶…?』
 訝しげに言葉を発した俺に、声は満足げだ。
 『えぇ、ただ単に、挨拶です。僕の名は"Impact(インパクト)"。また会いましょう、"Electrocutionist"』



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 KOH. 」さんの小説

もっと見る

アドベンチャーの新着小説

もっと見る

[PR]
小倉優子プロデユース
画期的なパウダー♪


▲ページトップ