宝物15

ラク  2008-01-24投稿
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「このナポリタンおいしい!」
真紀が嬉しそうに微笑む。その笑顔は俺も幸せにさせる。
俺の視界から真紀以外は完全に消えていた。
「ごちそうさま!」
真紀がそう言った時、ようやく他のものが視界に入ってきた。窓から外を見ると、暗くなっていた。
ファミレスを出た俺達は駅に向かって歩き出した。
俺は普段より少し遅く歩いた。小さな抵抗だった。今日という日がいつまでも続いてほしい。
無情にも電車がやって来て、真紀がゆっくり乗った。そして俺もためらいながら足を踏み入れた。
これに乗るともうすぐ今日が終わってしまうんだよなぁ…
電車は普段よりも何倍も速く走っているように感じた。
「じゃあ私この駅で降りるね…」
真紀が少し寂しそうにそう言った時、電車はとある駅に着いていた。俺の降りる駅の2つ手前だった。
俺は下を向いていた。すると真紀が笑って言った。
「今日はホント楽しかった。また誘ってね!」
何処にでもありそうなこの一言が、俺の心を動かした。
電車の扉が閉まった。
真紀が手を振る。俺も無意識に手を振る。ホントは手を振りたくなんかないのに…
一人になった俺の心は切なかった。でも半分嬉しかった。
少し寂しそうだった真紀が笑って俺を見送ってくれたから。



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