『そっから落ちても絶対死ねなくない?痛いだけじゃん?それに下走ってる車にも迷惑かけるよ。』
うん。ごもっとも。彼は今から死のうとしているアタシに冷静な事を言った。
とっさにアタシからでた言葉は。
「かっ…勘違いしないでよ!飛び降りるつもりなんてないわよ!アタシが死のうとしてるなんて勝手に決めないで!」
えっ?アタシなに言ってんだろ?誰がみたって自殺しようとしてる子にしか見えないのに。
こんな所にただ立ってるなんて、ただの馬鹿じゃん!
どうしよどうしよ。
頭の中で言い訳を考えまくった。
「か…風が気持ちいいのよここに立ってると!見てんじゃないわよ!まったく」
更にわけの解らない事を言ってしまった。
こんな事ならやっぱりマンションから飛び降りるべきだった…
まさか深夜に人が通ると思わなかった。
甘かった。
その時のアタシは可笑しいほどテンパっていた。
『変な人。邪魔して悪かったね。じゃあ風を楽しんで味わってくださいな〜。』
その、知らない彼は少し笑いながら言った。
「はい。そうさせてもらいます。」
アタシは手を広げ、思いきり風を感じているふりをした。