指が細く長くて女性らしい手
そんな言葉は似合わない君の手
まるで子供のような君の手
小さくて可愛くて僕の手の平にすっぽり包まれてしまう
不器用に塗られたマニキュア
少し伸ばした爪
君は嫌いだと言っていた
もっと綺麗な手になりたかった
もっと大きな手になりたかった
そうぼやきながらグラスを両手で掴む
僕はそうは思わない
グラスを持ちにくそうにする仕草さえも大好きだった
その小さな手で作る料理も好き
その小さな指を器用に動かして編物をする姿が好き
その小さな手によって描かれる君の水彩画が好き
その小さな指に似合わない程の君の綺麗な字
君がその手で造り出す全ての物が好き
何でもこなしてそれだけでも凄いのに
不服そうに自分の手を眺める君
不意に僕が手を取って君に言う
『この手は魔法の手だよ』
臭い台詞に恥ずかしさを覚える
君も恥ずかしそうに照れながらも嬉しそうに笑う
子供のような笑顔にまた心が揺れる
君の手を握りしめて思う
やっぱりこの手が好き
暖かくていつも僕を安心させてくれる
僕の手に収まってしまう僕の手にピッタリのサイズ
包み込めるから離れる心配も無い
君にとってはコンプレックスでも自信を持っていい
僕はこんなにこの手を必要としていて
こんなにも大好きなのだから