NO SMOKING

tomio  2008-01-24投稿
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 「いいよ。五千円ね。」
男はパクリと煙草を咥え、ニヤリと笑った。
 三分前のことだ。
バイト仲間のKとの家飲みの場、何かにつけて感化されやすい私が勢いで、
自らした禁煙の誓い“もう吸いま宣言”。
それをKが面白がって折角だから何か賭けようと言い、
貧しい私が、自身のある無し以前に
食費の心配をしつつも提案した金額を
私よりリッチマンなKが2つ返事でOKした というような
ここまではまぁ、そういう話。
 さて…私のルーズな性格をよく知る目の前の男Kは、
すでに勝者ヅラで煙草をふかしていて、
なりたてノンスモーカーの私は、
その男に「副流煙」について教えを説いている。
しかし内心では早くも確実に後悔の予感がしていた。
嗚呼、男の二言で撤回したい。言ってしまいたい!
「なんちゃってウソぴょーん」って。
そうだいつかのノリピーみたく。
 だって私はいわゆるチェーンスモーカーだもの。
すっかりしっかり煙草に依存しきっているもの。
 知らざぁ言って聞かせやしょう。
目覚めて一服。出勤前に一服。駅前で一服。バイト始めの一服。休憩に一服、終わって一服。駅で一服。帰宅して、テレビみながら、夕飯後、寝る前にそれぞれ一服。やれいっぷくそれいっぷくイップク‥
文字にしていて改めて気分が悪くなりそう。
ちなみに一服=1本とは限らないから要注意。アンダーライン。ラインだマーカー。
どうせいちいち吸った本数など数えていない。1箱が空になれば
「ああ、20本吸ったか」程度の欠しい自覚ぶりだ。
 そういう煙草が恋人みたいな私が禁煙?
WHY?何のため?肺ケア?自分改革?二酸化炭素の削減ですか?ゴアに言われて。
う〜む、ピンとこない。ならどうでもいいか。
少なからず現時点の私には、“禁煙しない理由”もコレといって見つからなかったのだから。
 結局その日はそのままKの家で酒を飲みまくり、
『さらば煙草、最後の1本!』みたいな儀式も済ませ、就寝。
 そして朝になり、
私のノンスモーキンデイズは取り敢えずよーいスタートした。

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