いつもより早く帰ってきた私を見て
「あれ?早いね!いつも遅いくらいなのに…なんちて」なんて言いたげな店長の顔も、
なんだか昨日より嫌いに思える。ごめんよ、店長。八つ当たり。
それでもなんとか笑顔で接客をこなし、
バイトを終えて、お疲れ様の一服…はいかん!
何とか踏みとどまる。
コートのポケットに見つけた数本の煙草も思い切って捨ててみる。
一瞬ちょっと気分が良い。
にしてもとにかく口さみしい。
手持ち無沙汰。落ち着かない。
そういえば以前、親戚の叔父が
禁煙したとたんにタバコの代わりにスルメをしゃぶりまくるようになったと聞いたことがあった。
それはそれで嫌だなぁ。別の匂いがつきそだなぁ。
などと思ったものだ。
帰りの駅。喫煙所でスモーカーを見つけ、羨ましく思う。
それを走り出す電車のドアごしでやり過ごしながらチュッパチャップスをガリガリ噛み潰す。
甘い。飴も、禁煙に対して私も、相変わらず甘い。
一日目にして早くも禁断症状発症ぎみか?
私は弱い自分へのイラツキを引き連れたまま帰宅。
それからいつも通り、CD聴いたりテレビを見たり。パソコンしたり本を読んだり。
それで思ったね。『怖いな』って思ったよ。
何をするにも離れない『煙草』の2文字!『喫煙』のイメージ!
その夜はなかなか寝つけず、空が青白くなり始めカラスも鳴ころになってようやく眠りに落ちていった。
(続)…ける?