『ちょっと!!みんないい加減にしてよね!!』
何処からともなく聞こえて来た不機嫌なひと声ー。
『さっきから黙って聞いていれば‥酷いじゃない?!
みんなマサトのコト好き勝手に言わないでよね!!』
それは、紛れもなくユカの声だったー。
あたしをクラス全員からシカトされる様に仕向け、陥れた張本人のー
秋田谷 ユカだったー。
『マサトが喘息持ちって言うのは本当よ。でもそれだけで2年もダブったりしないわ。』
マサトー。
ユカは何時から北岡のコト、名前で呼んでいるんだろう‥。
『マサトは小さい頃から体が弱いのよ。』
クラスの者は皆、
北岡の事を話すユカに注目していたー。
『“心室中隔欠損症”って知ってる?!心臓の先天性疾患なの。心臓の右室と左室の間の壁に孔が開いているの。マサトの場合は比較的、孔が小さかったから、即、手術をしなければならないという事ではないんだけど‥。』
ユカがサラリと言って退けたー。
『おい、秋田谷。
何でお前がそんな事まで知ってんだよ?!さっきから難しい病名や症状がどうとか‥涼しい顔して説明しやがってよ。』
普段、北岡の事をあまり心良くは思っていないであろうと思われるクラスメイトのタツヤが言ったー。
タツヤの鋭いツッコミにも、ユカは怯む事なく続けたー。
『あら‥?!知ってちゃおかしい?!』
ユカは何時になく、自信たっぷりの余裕の表情で答えたー。
そして‥
こう続けたんだー。
『だってあたし‥。マサトの彼女だもん。』