奈々さんは唖然として開いた口がふさがらない様子だった。
さらに玄関の大きなドアが左右開かれた。
「さ…奈々さんお入りになって」
愛美が奈々さんの背中に手を置きながら一緒に奥へ入る。その中はどれぐらいの高さが解らないぐらいの吹き抜けのホール。その先にはラセン状のお洒落な階段…まるでお城のような作りだった。
「なんて素敵なお宅なの……」
「ふふ…奈々さん私のお部屋へ来てくださる?」
「ええ…」奈々さんは綺麗なシャンデリアや高価な絵画などを見わたして感動しているようだ。」
「あら…愛美…お帰りなさい」ラセン状階段から上品で綺麗な女性が降りてきた。
「まあ…お友達かしら…?」
その女性は愛美に聞いた。
「ただいま帰りましたお母様」どうやら愛美の母親らしい。奈々さんは女性の品の良さにもただただびっくりするばかりだった。「お母様 前にお話していたお店の方ですの名前は奈々さんっておっしゃるの…素敵な方でしょ!」愛美は母親に自慢気に言った。
「Cafeクロで働いております奈々と申します」
奈々さんは母親に挨拶をした。
「まぁ可愛いお嬢さんね…ゆっくりしていらしてね」
「ありがとうございます。お邪魔いたします」
「奈々さん私のお部屋に参りましょう!」愛美は奈々さんの手を握り引っ張って小走りした。
「あらあら…愛美ったら…よほど嬉しいようね…」
少し先を歩いて行くと奥の突き当たりの部屋に着いた。
「さっ入って…奈々さん」
「わ〜綺麗〜」愛美の部屋の奥には大きなテラスがありそこから薔薇園が一望出来た。