何分くらいたっただろう?
奴は微動だにしない。
片手の仕掛けがわからない銃に沈黙する一同。
喋らなかったらやられないのかな?と思っていたら、紗耶が後ろでガタガタ震えていた。
「お前らを誘拐した、もう君達は逃げる事は出来ない。滝 良次を出すまではな」
また俺かよ…と思ったその時、酔っ払った連中も、散り散りばらばらに偽物と俺に視線を散らせた。
そうか、あいつを差し出せば俺は助かる。
「滝はあいつだ。俺は…三田だ」
言ってみた。三田って誰だとか思い出したら笑いがとまらないが押し殺して頑張った。
「いやいやいやっ!!?俺は滝じやぁないっ!俺は佐々木だ!」
…男の視線がちらつく。
「仮に俺が滝だとして…何をするんだ?」
…俺もそれは気になっていた。何をされる?
「消すだけ。それだけを命令された」