場所は再び結奈の捕らえられている廃工場へと移る。
桜井結奈は工場の一角の鉄柱にワイヤーで縛られ立ち上がることもままならなかった。
更に長時間に渡る尋問により結奈は心身共に疲れ果てていた。
尋問を続けていたバルト・ガイラーは立ち上がると結奈に近づいた。
ガイラー「貴方の目的は瀬崎隆也の救出か…。成る程。それだけでも我らの存在を知る大きな理由となる…しかし」
ガイラーは諭すように結奈に告げた。
ガイラー「貴方の要求には応えることは出来ない。彼には多くの問題点が有るがそれ以上に彼は我々にとって重要な“モルモット”なんだ」
結奈は力無く更に小声で返した。
結奈「あいつに…何かしたの?」
ガイラーが結奈の目の前にしゃがみ込み口を開こうとした瞬間であった。
その後ろの鉄の扉を勢い良く開き、隆也が入って来た。
隆也は真っ直ぐ、結奈の方へと歩いて行った。
隆也の目は血走り、口からは唾液がだらし無く流れ出ていた。
隆也「コロス…コロス…コロスゥウぅ!!!!」
隆也はガイラーを払いのけると結奈の首に手をかけ一気に締め上げた。
結奈「隆也…ぅう…や…めてぇ!!…なんで…こうなっちゃたの…」
結奈のか細くなった声が隆也の耳にはいると隆也は手を止めた。
そして、
隆也「ぅ……フオワアアアアアグガアアア!!アアアアア!!!!」
隆也は頭を抱えてその場にうずくまった。
怯えた目でその様子を見る結奈にガイラーは言った。
ガイラー「これが我らの夢の懸け橋なのだ」
結奈には何を言っているのかさっぱり理解出来なかった。
この時点では。