神聖な白い大理石の神殿は、邪悪な血と生々しい死体で覆われ、威風堂々と建っていた柱は所々崩れ、抉れそして倒れていた。
そんな神殿を龍華は先へ先へと進む。
神殿の奥に着き、龍華は立ち止まった。
目の前には純白の悪魔の翼が生えた長い銀髪の女と、まるで悪魔の様な紅い光を放つ眼を持った天使の男がその翼と同じ純白の諸刃の刃で白い悪魔の心臓を突き刺していた。
「ネロ…なんで…」
女が苦しそうな、虫の音の声で聞いた。
「母上はこの世に存在してはいけない…ここで永久に眠ってもらう。」
白い剣が、青い光を放つ。
*
「やめろぉぉぉ!!!」
龍華はベットから飛び起き、声が部屋の中に木霊した。
「あれ…?」
龍華は辺りを見回す。
ここは何の変哲もないホテルの一室だ。
『夢か…またあの白い悪魔かよ…それにあの天使は…』
そう呟くと、龍華はタオルで額の冷や汗を拭い、再び寝ようとベットに入った。
しかし…
ドンドン…ダンダン!!
隣りのジュリアの部屋が騒がしい。
『なんだよ…
あの人今何時だと思ってんだよ…』
そう思った矢先の事だった。
ダンダンダン!!
「私よ!!開けなさい!!早く!!」
外からノックの音と、慌てた様子のジュリアの声が聞こえて、眠っていた力也とオロマは飛び起きた。
龍華は直ぐさまドアの鍵を開けて、ジュリアを中に入れた。
ジュリアは雪上戦闘用の白とグレーの迷彩服を着ていた。