そういえば、、絵梨原は?「なぁ、絵梨原は?」
河内は、あぁと言って、
「今日だったかな?出発」出発?
「何?出発って?」
河内は一瞬驚き、
「そっかぁお前知らないか〜絵梨原様は今日、坊ちゃんとアメリカへ旅立ちます〜〜〜」
しばらくの静寂の後、俺はベッドを跳び起き、何か言ってる河内を置いて部屋を後にした。
何処だ!?ここらの空港って!!
何処だ!?
がむしゃらに走りながら考えていた。
分かんないので立ち止まる。
「乗ってけ!金崎!」
後ろを振り向くと河内が原付きで向かって来る。
河内は俺の横で止まり後ろに乗れと指示した。
俺は後部座席に跨がりヘルメットをかぶり、河内にしがみついた。
河内はハンドルを目一杯回し、全速力で走った。
法定速度を絶対守っていない。
パトカーに見付かれば一発免許取り上げだろう。
「出発は四時半、後二十五分後だ、時間がねぇ!急ぐからしっかりつかまってろよ!」
「オーケー!」
そう言うと俺は黙り込み、耳を切る風の音に耳をすました。
それまでの音が、エンジン音や車の音が消え、風音だけになった。
時間がゆっくり流れている。
まだ二月の北風は冷たい