『好き』の二文字

ふく  2008-01-26投稿
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『好きな人いないの』
あなたの問いかけに一瞬動揺を隠せなくなる
『目の前のあなたです』
そう素直に簡単に告白できたらどんなに楽だろう

隠しきれない想いもある
女の子の話をされれば苛立ちが隠せなくて無愛想な返事をする
そんな返事にあなたもまた苛立った表情と呆れた口調になる
聞きたくもない
素直に表現ができなくて苦しくなる
今の私はどんなふうに映っているだろう
可愛くなりたい
二人の恋がしたい

たったの二文字を口にすればいいだけなのに
近くて遠い存在に歩み寄る勇気もない
待つことも疲れた
待ち続けてその先にはあなたとの未来があるのだろうか
私はまだ幼いから
いい年してそんな言い訳を心で繰り返す

『聞いてんのか』
上の空になる私の頭を叩いていたずらに笑う
もう他の子の話はやめて
悲しいだけ
少しは気付いて
不機嫌な私を見てこの私の嫉妬に気付いて欲しい
『おまえももっと女らしくなれよ』
鈍感なあなたが目の前で笑い続けるからきっかけを失う
あなたの前では可愛くいたい
素直で優しくて
そんな子になりたい
だけど好きな気持ちと行動が反比例する
作り上げられた友情
壊したくない関係
でも限界も近い
分かっている
あなたを失わない方法を
崩すわけにはいかない

喉まで出かかった言葉を飲み込んで辛くなって我慢してきた想いの代わりに涙が溢れ出る

あなたが表情を無くす
あなたの手が近づく
どうしたのと心配した声色で問い掛ける
手が私の肩に触れた瞬間私はあなたの手を振り払ってしまった
崩してはいけない
だけどもう限界

『お願い』
やっと出た言葉
振り払われた手をあなたが悲しそうに見つめている
私の声にあなたが反応する
まだ悲しそうな目
『どうしたんだよ』
あなたは優しい
だから好き
素直になって伝えたい

『もう私に優しくしないで』
想いとは裏腹な言葉をあなたに伝えてしまった
困った表情の後に見せた怒った顔

最後に見たのは笑顔ではなかった
どうせ壊れるのならば我慢してきた想いを伝えればよかった
たったの二文字
すぐに言えたはずなのに
傷付けずに済んだのに
どうしてあんなことを言ってしまったのだろう
こんなに後悔と痛みを伴うなら違う言葉を選べばよかった
少しは可愛くなれたかもしれない
あのときあなたの優しく伸びた手を掴んで言えばよかった

『好き』



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