プロローグ 「はあはあっ・・・」 準は暗闇の中、一人何かから逃げているかのように汗だくになって走っていた。目の前には光が見えているのになかなか辿り着けない。まるで迷路だ。しばらくの間、走り続けていると、ふと、目の前の光を覆い隠すような大きな暗闇が現れて、準を襲った。 「うわっ」 突然の出来事に準が驚いて尻餅をつく。途端にまた新たな無数の暗闇が現れ、準の首を絞めたり、体を殴ったり、炎で焼いたりした。準は何もできずに、ただされるがままになったいる。声も出ない。 そのうち、今までとは比べものにならないほどの巨大な暗闇まで現れて、指先についている大鎌のような爪で準を真っ二つに切り裂いた。 「うあああああっ」 悲鳴を上げて、準は目を覚まし、ベッドから飛び起きた。狂ったように辺りを見回し、ホッと胸をなでおろす。 (夢か・・・) 準は額から滴り落ちてくる大量の汗を拭い、ベッドから降りた。 クラッ・・・ (え・・・?) 激しいめまいが準を襲い、準はベッドに引き戻され、そのまま気を失ってしまった。